7・6 「心神喪失者等医療観察法」施行14ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘おう!

 私たち全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、2005年7月15日の「心神喪失者等医療観察法」施行から14年目を迎えようとする7月6日、怒りも新たに「心神喪失者等医療観察法」施行14ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘います。すべての闘う「精神病者」「障害者」、共に闘う労働者人民に、この闘いへの結集を呼びかけます。

 

「心神喪失者等医療観察法」の撤廃をかちとろう 

 

 2003年7月16日制定、2005年7月15日施行の「心神喪失者等医療観察法」は、その目的を「病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進する」としており、「犯罪行為」の原因を「心神喪失状態」などを引き起こした「精神障害」と規定し、「犯罪を行なった際の精神障害」が「改善」されるまでは「同様の行為の再発」、つまり「再犯のおそれ」があるとして、特別な施設(保安処分施設)に隔離・拘禁する「精神障害者」差別に貫かれた「法」です。また、この「法」は、「医療法」ではなく、司法―国家権力に大きな権限を与える治安目的の「法」です。このことは、医療関係者が「もう入院の必要はない」と判断して「退院許可申請」を行なったにも関わらず、裁判所が申請を却下した事例が相当数あることからも明らかです。国家権力が恣意的に、科学的根拠のない「再犯のおそれ」にもとずいて「予防拘禁」できる点において、紛れもない保安処分なのです。 

 

 これまでにも、日帝・政府は、「精神障害者」への差別を利用して、保安処分の導入を狙ってきました。「触法精神障害者」なる言葉で差別を煽り、「処遇困難者専門病棟」の建設を目論んできたのです。しかし、これは、全国の「精神障害者」を先頭とした闘いによって頓挫しました。それでも、保安処分導入に執着する日帝・政府は、2001年に大阪で起きた「池田小学校児童多数殺傷事件」の被告に精神病院への通院歴があったことに飛付き、当時の首相・小泉が、「精神的に問題のある人が逮捕されても、また社会に戻ってひどい事件を起こす」と放言し、マスコミを総動員して、「精神障害者は、危険」という差別キャンペーンを大々的に張り、「心神喪失者等医療観察法」を成立させたのです。  

 

 2005年の「法」施行後、現在までに「医療観察法」の適用を受けた「精神障害者」の中から50人を超える「自殺者」がでているとされており、「心神喪失者等医療観察法」が、まさに「精神障害者」抹殺の法であることが明らかになっています。しかも、「重大犯罪」を対象にするといいながらも、「かすり傷一つの軽傷」でも適用されるなど、「法」の適用が乱発されています。「心神喪失者等医療観察法」の撤廃をかちとろう。

 

 「心神喪失者等医療観察法」は、受け入れ機関である保安処分施設の建設が進まず、「受け入れ」の態勢もままならぬまま、施行期日の2005年7月15日を迎えました。施行当時、全国で唯一の保安処分施設となったのが、旧武蔵病院(現国立精神・神経医療研究センター)でした。何としても「法」を施行せんとする政府の意を受けて、「法」施行の空白期間をなくすことに与したのが、旧武蔵病院です。旧武蔵病院は、1940年に「傷痍軍人武蔵療養所」として設立され、1945年に旧厚生省に移管されて「国立武蔵療養所」となりました。都立松沢病院と同じく「ロボトミー」などを中心とした「治癒的活動」という名の「精神障害者」虐殺を強行する悪名高い病院として存在してきたのです。2010年に「国立精神・神経医療研究センター病院」と名称を変更し、「神経研究所」「精神保健研究所」などあわせて7部門(現在9部門)からなる国立精神・神経医療研究センターの病院部門として機能しています。国立精神・神経医療研究センターは、政府の医療政策を実践する機関として存在しており、「精神保健研究所」は「『心神喪失者等医療観察法』についての研究や普及活動、治療技法に関する研究、精神鑑定及び精神保健観察のあり方に関する研究を司ること」となっています。また「『触法精神障害者』の暴力行為に対する生物学的研究にも取り組んでいる」とされ、各部門相互が密接に繋がり、保安処分施設の存在を支えています。

 

刑法改悪―新たな保安処分導入を許すな

 

 旧武蔵病院に続き、全国で続々と保安処分施設の建設が強行されてきました。本年4月1日現在で「指定通院医療機関」の指定数は、3598ヵ所とされており、「指定入院医療機関」は、すでに33カ所の病院が指定・運営されています。2018年10月1日、北海道大学病院は、「『医療観察法』の施行からこれまで、北海道内には『医療観察法指定入院医療機関が整備されてなかった』」として、「厚生労働省北海道厚生局より依頼を受け、また、北海道、北海道医師会、並びに北海道弁護士会連合会からも同様の要望を受けて検討した結果、この度、当該施設(医療観察法入院病棟)を北海道大学病院の分院として、札幌市東区の札幌刑務所敷地内に整備することを決定した」と記者会見で発表しました。2022年に「施設の完成」をめざしているとしていますが、「施設」を病院ではなく、国有地があることを理由にして、刑務所敷地内に建設を選定したことは、まさに「医療施設」ではなく、「保安処分施設」であることを顕わにしています。「施設建設」を絶対に許してはなりません。

 

 一方、「厚労省障害保健福祉部」の2019年度予算において、「地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進」予算のうち「心神喪失者等医療観察法」関係には、189億円を計上し、「高齢・長期入院の精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進」には、5・7億円しか計上されていません。厚労省の「精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進」とは名ばかりで、政府の政策が「精神障害者」を治安管理の対象として隔離・抹殺することに重点を置いているのは明らかです。

 

 保安処分施設の存在なくして、「心神喪失者等医療観察法」施行もありえません。「法」撤廃をかちとるための有効な闘いは、保安処分施設の建設を阻止し、解体する闘いです。差別糾弾闘争を武器に、「保安処分施設」に直接デモをぶつけ、「入院患者」との連帯をかちとっていきましょう。

 

 法務省は、「精神障害者」に対する保安処分導入に続き、保安処分の運用対象を拡大することを狙っています。2006年、法制審議会に「被収容人員適正化方策に関する部会」が設定され、「初犯者」「薬物依存者」を対象とする「刑の一部執行猶予」「社会貢献活動」という名の新たな保安処分の導入が狙われてきました。保安処分の適用対象者拡大に対する反対闘争が闘われましたが、安倍極右政府は、2013年3月、「刑法等の一部を改正する法律」案と、「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」案を閣議決定して参院に上程し、成立させました。改悪「法」においては、「薬物使用等の罪を犯した者」は「再犯率」が高い、「初犯者」は「再犯」の恐れがあると決め付けて「刑の一部」を長期にわたる「執行猶予」として課し、「保護観察」即ち、「執行猶予取り消し」の恫喝のもとに「社会貢献活動」を強制することによって、「善良な社会の一員」なるものにするとしています。刑法の「再犯の恐れ」を導入して保安処分の適用対象を拡大しようとしているのです。刑法改悪―新たな保安処分の導入を許してはなりません。

 

「精神保健福祉法」撤廃をかちとれ 

 

 2014年4月1日から施行されている改悪「精神保健福祉法」では、「保護者制度」が廃止され、「医療保護入院」―強制入院の要件として、精神保健医一人の診断と家族等(配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人などのいずれかの者)の合意での医療保護入院―強制入院が可能とされてしまっています。個人の意思は、完全に無視・抹殺されているのです。これは、「精神障害者」の基本的人権の一切を奪う行為であり、この「法」は、「心神喪失者等医療観察法」と同様の「精神障害者」への隔離・拘禁の保安処分攻撃です。

 

 厚労省は、2016年7月に発生した神奈川県相模原市の「障害者施設殺傷事件」を契機に、ますます「精神障害者」を「治安の対象」とする傾向を強めており「精神保健福祉法」の新たなる改悪を目論んでいます。改悪案は、①「都道府県」や政令市が「精神障害者」支援地域協議会を設置し、入院中から退院後の支援計画を作成②退院後、帰住先の保護所設置自治体相談指導を実施③患者が転居した場合、移転元の自治体から移転先へ通知―を定めるとされています。「精神障害者」支援地域協議会に警察も参加し、「犯罪行為」に発展する可能性があるケースへの対応も協議するという改悪案に対する、当事者団体からの「精神科医療を治安維持の道具に使うべきではない」との指摘を受けて、厚労省は、「法」改悪の当初の趣旨である「二度と同様の事件が発生しないよう整備する」という「再発防止」文言は削除するとはしたものの、「精神障害者」や各「精神障害者」団体、専門家からは、「精神障害者」への警察の監視が強化され、生活が脅かされるので、「支援計画をつくる協議会に警察の参加を想定する点を問題視する」という批判の声が上がっています。

 

 首相・安倍が、「法」改悪を「再発防止」と結びつける発言をし、これに対して、「精神障害者」や各「精神障害者」団体、専門家からは、「謝罪・撤回すべきだ」として、 抗議の声が挙がり、改悪案そのものを廃案にすべきだとの主張がなされています。

 

 現在、「精神保健福祉法」改悪をめぐる国会審議は止まっていますが、どこまでも「精神障害者」を治安の対象としてしか捉えられない政府や首相・安倍の「精神保健福祉法」の改悪策動を阻止しなければなりません。そして、「精神保健福祉法」そのものの撤廃をかちとりましょう。

 

対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモへ

 

 2014年に改悪された「精神保健福祉法」にもとづき、厚労省が打ち出し始めた「病棟転換型居住系施設」構想なるものの中身は、地域移行という名の下に精神病院の敷地内の空いた病棟を利用して「グループホーム」に名前を変え、そこへ長期入院患者を移動させ、「精神障害者」の地域移行を推進するという、「精神障害者」に対する事実上の長期入院、隔離・抹殺体制を維持することを狙うものです。「病棟の転換を認めなければ、(入院患者の)削減は進まない。地域移行の選択肢が拡がるのはいいことだ」(国立精神・神経医療研究センター理事長・樋口)、「(病棟転換は、)地域の受け皿作りを議論する中で具体的な方策の一つ」「病院も地域社会と思っている」(「厚労省精神・障害保険課」課長)などと言い放っているのです。「精神保健福祉法」と共に、この構想自体の撤廃をかちとらなければなりません。

 

 「成年後見制度利用促進法」と「改正民法及び家事事件手続法」が、2016年4月8日と4月6日に、それぞれ衆院本会議と参院本会議で可決・成立しました。「成年後見制度利用促進法」「改正民法及び家事事件手続法」は、「精神障害者」の自己決定権を著しく侵害するものであり、「精神障害者」の尊厳を踏みにじる「法」です。「後見人」の医療同意が可能になり、郵便物、信書等の送付、開封等が「後見人」に直接出来るようにもなり、「精神障害者」個人の基本的人権そのものを、破壊する「法」でしかありません。とりわけ、「後見人」の「医療行為代諾」が可能になれば、それは完全な強制医療ということになるのです。これまで、「精神保健福祉法」では、強制入院を規定していましたが、強制医療までは規定していませんでした。しかし、「成年後見人」が「代諾」してしまえば、「精神障害者」本人が医療同意したと見なされ、本人の意思が抹殺され、不本意な医療行為の全てを強制されていってしまいます。強制的な投薬治療や電気ショック治療が、これまでも運用されてきました。しかし、現在は、裁判において不法医療行為を主張する余地がありますが、この「法」改悪によって、こうした余地そのものがなくなってしまうのです。さらに警戒しなければならないのは、「成年後見人」によって、医療提供拒否の代理決定による、いわゆる「尊厳死」へと「精神障害者」を追いやる危険性を伴うという事です。日帝の優生思想にもとづく、「精神障害者」抹殺攻撃のための「法」だという訳です。全ての「障害者」抹殺攻撃を粉砕しましょう。

 

 7月6日の闘争は、第一に、「精神障害者」差別にもとづく「保安処分」法である「心神喪失者等医療観察法」施行14ヵ年を糾弾し、闘う「精神障害者」を先頭とした差別糾弾闘争の飛躍をとおして、「心神喪失者等医療観察法」撤廃をかちとるための闘いです。第二に、「保安処分」施設を全国に先駆けて建設した国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)を糾弾し、「保安処分」施設を解体すべく闘いぬかねばなりません。これを突破口として、全国の保安処分施設の建設を阻止し、解体しましょう。第三に、「心神喪失者等医療観察法」施行を導水路として策動されている新たな「保安処分導入」を阻止し、刑法の改悪を阻止する闘いです。差別糾弾闘争と労働者階級との階級的共同闘争で戦時「障害者」差別―抹殺攻撃と全面対決しよう! 「安楽死、尊厳死の法制化」攻撃を粉砕しよう! 「精神保健福祉法」の撤廃をかちとり、新たなる改悪を阻止しよう! 「病棟転換型居住系施設構想」を粉砕しよう! 「成年後見制度利用促進法」と「改正民法及び家事事件手続法」の撤廃をかちとろう! 「障害者差別解消法」の撤廃をかちとろう! 朝鮮反革命戦争突撃を絶対阻止し、改憲と核武装に突き進む安倍極右政府を打倒しよう! 「障害者」差別を生み出す帝国主義を打ち倒し共産主義社会の建設を通して「精神病者」解放・「障害者」解放をかちとろう! 「心神喪失者等医療観察法」施行14ヵ年糾弾の対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘おう! 

  

7・6「心神喪失者等医療観察法」施行一四ヵ年糾弾! 

対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモ 

・日時 7月6日(土)午前11時

・場所 小平市中央公民館

・主催 全国「障害者」解放運動共闘会議