7・1「心神喪失者等医療観察法」施行12ヵ年糾弾 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘う

全「障」共全国幹事会が基調を提起

 

 7月1日、全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、全国の闘う仲間とともに、東京都小平市中央公民館での集会と国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)に対するデモを貫徹し、「心神喪失者等医療観察法」施行12ヵ年糾弾闘争を闘いぬいた。

 

 午後1時30分、全「障」共で闘う「精神病者」「障害者」をはじめとする全国の闘う仲間が結集する中、刑法改悪阻止関東活動者会議の仲間の司会で集会が開始される。

 

 冒頭、本日の闘いを断固として闘いぬくべく、シュプレヒコールが行なわれる。「『精神病者』解放・『障害者』解放をかちとろう!」「『心神喪失者等医療観察法』施行12ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘うぞ!」「戦時『障害者』差別―抹殺攻撃粉砕!」「『安楽死』、『尊厳死』の法制化攻撃を粉砕しよう!」「改悪『精神保健福祉法』の撤廃をかちとろう! 新たな改悪阻止!」「『病棟転換型居住系施設』構想を粉砕しよう!」「『成年後見制度利用促進法』、『改正民法及び家事事件手続法』撤廃!」「『障害者差別解消法』の撤廃をかちとろう!」「改憲と核武装に突き進む安倍極右政府を打倒しよう!」「全『障』共は闘うぞ!」と参加者全員から怒りのシュプレヒコールが沸き上がる。

 

 シュプレヒコールに続いて、全「障」共全国幹事会から基調提起が行なわれる。基調提起に起った全「障」共全国幹事会の仲間は、「2005年7月15日、『再犯のおそれあり』と『精神病者』を隔離・抹殺する『心神喪失者等医療観察法』強制施行から12ヵ年を弾劾すると共に、これまでこの『法』の拡大適用が乱発され、『保安処分施設』に収容された人数も増加する中で、『精神病者』40人超が自殺に追い込まれたとされる」「『精神病者』差別にもとづく保安処分法である『心神喪失者等医療観察法』施行12ヵ年を糾弾し、闘う『精神病者』を先頭とした差別糾弾闘争の飛躍をとおして、「『心神喪失者等医療観察法』撤廃をかちとろう」「保安処分施設を全国に先駆けて建設した国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)を糾弾し、保安処分施設を解体すべく闘いぬき、これを突破口として、全国の保安処分施設の建設を阻止し解体しよう」「『心神喪失者等医療観察法』施行を導水路として策動されている新たな保安処分導入を阻止し、刑法の改悪を阻止しよう」「差別糾弾闘争と労働者階級との階級的共同闘争で戦時『障害者』差別―抹殺攻撃と全面対決しよう! 『安楽死、尊厳死の法制化』攻撃を粉砕しよう! 改悪『精神保健福祉法』の撤廃をかちとり、新たなる改悪を阻止しよう! 『病棟転換型居住系施設』構想を粉砕しよう! 『成年後見制度利用促進法』と『改正民法及び家事事件手続法』の撤廃をかちとろう! 『障害者差別解消法』の撤廃をかちとろう! 改憲と核武装に突き進む安倍極右政府を打倒しよう! 『障害者』差別を生み出す帝国主義を打ち倒し、共産主義社会の建設を通して『精神病者』解放・『障害者』解放をかちとろう!」。基調は圧倒的な拍手で確認された。

 

アピール紹介と結集した仲間の決意表明

 

 基調提起の後、体調不良のために、本闘争に参加できなかった全「障」共に結集する全国の仲間からのアピールが、司会の仲間によって代読される。

 

 最初に、全「障」共全国幹事である沖縄の「精神病者」からの連帯アピールが、読み上げられる。「昨年発生した相模原の『障害者施設殺傷事件』を理由に、日帝は、『精神病者』への徹底した差別観を、沖縄労働者人民、全ての労働者人民に植えつけようとしています」「沖縄でも、沖縄内部にある『精神病者』『障害者』への比較的暖かい視線や接し方を等を、帝国主義的な力で破壊しようとしています。沖縄の『ユイマール』と呼ばれる、相互扶助、助け合いの精神構造を「ファシズム優生思想」で再び染め上げようとしています。沖縄戦時に『精神病者』『障害者』を日本軍は、米軍のスパイであるとデッチ上げ、ある女性の『障害者』は、多くの住民の前で、竹槍で刺し殺されています。日本軍は、同様なことを沖縄戦の最中に沖縄全域で行なったといわれています」「沖縄でも、『国立病院機構琉球病院』が2007年1月より『心神喪失者等医療観察法』を適用された『精神病者』の収容先となり、沖縄での隔離・抹殺施設としてすでに運用を開始しています。われわれ沖縄の『精神病者』『障害者』は、これを許さず、沖縄を含めた全国各地にある同様の全ての病院・施設を解体していく決意です。日本『本土』―沖縄貫く革命的共同で共に闘おう」。

 

 次に、「宮城・『障害者』への公的介護保障を求める会」の「障害者」からのアピールが紹介される。「昨年7月26日、『相模原事件』が起きましたが、私は、この『障害者大量殺傷事件』に対して、今尚、怒りを押さえることができません。私は、今後もこの事件を忘れることなく、『社会の邪魔者』として『障害者』を抹殺せんとする『優生思想』と闘い続ける決意です。更に許せないことに、厚労省は、『精神保健福祉法』改悪を強行しようとしていますが、理由に『相模原事件』を持ち出したのです。主旨文から『事件』の再発防止』を削除したものの、根本的には『精神病者』を『犯罪素因者』と差別的に見なして、徹底的に『治安管理』を行なおうとする考えと政策が問題なのであり、糾弾して打ち砕かなければなりません」「『精神保健福祉法』も『心神喪失者等医療観察法』も撤廃あるのみです。『障害者』解放をめざして共に闘いましょう」。

 

 続いて、結集した各団体からの決意表明が行なわれる。

 刑法改悪阻止関東活動者会議で闘う仲間からは、「『心神喪失者等医療観察法』は、『精神病者』を社会の敵とみなして、隔離・抹殺しようとする『法律』です。この『法律』によって、多くの『精神病者』が保安処分施設に閉じ込められ、現在に至るまで、40人を超える自殺者が出ていると言われています。『心神喪失者等医療観察法』には、「精神病者」である自分を自分で追いつめていく『内省プログラム』なるものが強いられているのです。こんなことを許しておいてはなりません」「安倍極右政府は、6月15日、ついに『共謀罪』を強行成立させました。そして、戦争へと着々と突き進もうとしています。こうした中で、『精神障害者』を治安の対象として隔離・抹殺する攻撃がますます強化されています。『心神喪失者等医療観察法』を撤廃し、保安処分施設の解体をかちとらなくてはなりません。多くの『病者』『障害者』とともに本日の闘争を闘うことを明らかにします」。

 

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間は、「1976年、寄せ場解放の闘いと同時に『精神病者』解放を闘っていた戦士・鈴木国男さんが、大阪拘置所で国家権力によって虐殺されました。われわれ『反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会』は、鈴木国男氏を寄せ場で孤立させ、虐殺を許してしまった痛苦な反省と総括の上で、寄せ場での労働運動と反戦、『精神病者』の解放を共に闘って行きます」「安倍政府は、『精神病者』を治安管理の対象として隔離・抹殺しようしています。『措置入院』から退院しても行政や警察が『精神障害』を管理する『精神保健福祉法』改悪を許さず闘います。『心神喪失者等医療観察法』撤廃、『保安処分施設』解体を闘おう。共に頑張って闘いましょう」。

 

国立精神・神経医療研究センターへ怒りのデモ

 

 「広島・『障害者』解放を進める会」の仲間は、「『心神喪失者等医療観察法』が施行されてから12年が経過したが、多くの『精神病者』が保安処分施設に隔離・拘禁されています。医者の診断で『入院の必要なし』とされても裁判所が退院の決定を下さず、そのなかで『精神病者』が絶望を強いられ、40人以上が自殺に追いやられています。絶対に許すことは出来ません」「安倍極右政府は、昨年、相模原で起きた『障害者殺傷事件』に関しても事件を起こした者が『精神病院に通院歴がある』『精神病者は危険』という差別キャンペーンを張って、『精神保健福祉法』改悪を狙っています。『精神病者』が、『措置入院』から退院して地域に戻っても、『精神障害者地域支援協議会』を設置して、行政や警察が一体となり監視していこうとするものです。今国会では継続審議となったが、これと対決し、阻止していきましょう」。

 

 決意表明の最後は、「反安保労研全国センター」だ。「労働運動を進める立場から、本日の闘いを『心神喪失者等医療観察法』撤廃、『精神病者』を差別・隔離する保安処分施設解体の闘いとして、そして『精神病者』を『危険な存在』として予断と偏見を煽り、隔離・抹殺するような安倍極右政府の攻撃を打ち破る闘いとして闘い抜きます」「安倍極右政府は、昨年の相模原市にある『津久井やまゆり園』で起きた「障害者殺傷事件」を利用した『精神保健福祉法』改悪を狙っています。通常国会で、政府は、反戦闘争や労働運動を潰すための戦前『治安維持法』に他ならない「共謀罪」成立を優先させたため、『精神保健福祉法』改悪は、秋の臨時国会での継続審議となっています」「ナチス・ドイツが『障害者』を大量虐殺した歴史を見据え、釜ヶ崎で活動していた鈴木国男氏の虐殺、宇都宮病院による山谷の労働者の刈込などを捉え返し、『精神病者』『障害者』との〈共闘・共生〉を原則とする労働運動を構築して闘います。共に闘いましょう」。

 参加した闘う仲間たちは、寄せられた連帯アピールと各団体の発言を大きな拍手で確認していく。

 

 集会を終えて、デモに出発する。デモ隊は、国立精神・神経医療研究センターに向けて進撃し、センター前では、怒りを込めて「『心神喪失者等医療観察法』施行12ヵ年糾弾!」「国立精神神経医療研究センター解体!」「保安処分施設解体!」「改悪『精神保健福祉法』撤廃! 新たな改悪阻止!」「『障害者総合支援法』撤廃!」「『安楽死』『尊厳死』の法制化粉砕!」「戦時『障害者』差別―抹殺攻撃粉砕!」「『精神病者』解放・『障害者』解放!」「差別糾弾闘争と階級的共同闘争で闘うぞ!」「改憲と核武装に突き進む安倍極右政府打倒!」とシュプレヒコールを幾度も叩きつける。国立精神・神経医療研究センター付近の住民を始めとする労働者人民の注目を集める中、戦闘的デモを闘いぬいた。

 

 全「障」共と結集した全国の闘う仲間は、本闘争を力に「心神喪失者等医療観察法」撤廃に向けて闘いを進めていくとともに、7・18「報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺33ヵ年糾弾! 現地闘争」に決起していくことを確認して闘争を終えていった。